「ATP CTPって何?」
「FAA ATPライセンス取得について詳しく知りたい!」
「ATP CTPを受講して海外のエアラインで働くために、FAA ATPを取得したい!」
このようなお考えを、お持ちではないですか?
私は2022年3月中旬から約1カ月間、アメリカのマイアミのフライトスクールで「ATP CTP」を受講し、タンパのフライトスクールで「ビーチクラフト キングエアB300(Pro line Fusion)のレイティングでATP」を取得してきました。
渡米前の日本での準備段階から、アメリカでのATP CTPとFAA ATPパイロットライセンス取得訓練・試験、帰国後の航空英語能力証明の取得方法まで連載していきます。
今回解説のATP CTP とATPパイロットライセンス取得手順の概略は、以下のとおりです。
- ATP CTPの概要
- FTSPやIACRAなどの申請手続き等に必要な用語の説明
- ATP CTPコース後のFAA ATP取得までのながれ (渡米前の申請作業とアメリカでの訓練・試験の概要)
アメリカで訓練をおこなうためには、渡米前には様々な申請と許可を受ける必要があります。
ATP CTP とFAA ATPライセンス取得手順の概略は、以下のとおりです。
- アメリカでのフライトスクールの決定
- 国内準備として、FTSP・Verification等の申請・許可
- アメリカでのATP CTP 訓練
- FAA ATP学科試験
- シミュレーターでの訓練とATP試験
いち早く、具体的な手順を知りたい方は「ATP CTPからFAA ATP取得までの流れ」にジャンプして確認できます。
ぜひ、最後までご覧ください。
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ATP CTPの概略
ATP CTPとは、「Airline Transport Pilot Certification Training Program」の略です。
2014年からFAA(アメリカの連邦航空局)のATP(Airline Transport Pilot)ライセンスを取得するための、トレーニング要件の1つになっています。
FAA以外で発行したパイロットライセンス所持者やFAAの事業用操縦士ライセンスの所持者がFAAのATPを受験するには、まずこのATP CTPを修了しなければなりません。
私が修了したATP CTPの概要を、下記にまとめました。
訓練コース名 | ATP CTP(Airline Transport Pilot Certification Training Program) |
フライトスクール | Pan Am International Flight Academy (Maiami,FL) |
費用 | $3495 *2023年6月18日現在、割引価格で$3995となっています。 |
期間 | 約5日間 |
訓練開始時期 | 毎週月曜日 |
ATP-CTP飛行訓練は、ATP CTPコースがあるFAAで定められているフライトスクールでの修了が必要です。
私が修了したPANAMのATP CTPコースは毎週クラスが開講され、学科とシミュレーターの訓練課目があります。
ATP CTPに伴うアメリカでの訓練・試験に関しては用語の理解が必要で、申請手続きをはじめるにあたり、多くの時間が必要でした。
ここでは渡米前の申請手続きで必要であった、ATP CTP とFAA ATPパイロットライセンス取得関連の用語について解説します。
FAA ATPの資格要件
FAA ATPの資格を取得するには、アメリカの航空法に定められている資格要件を満たさなければなりません。
実は、その中にATP CTPコースを修了しなければならない旨が定められています。
FAA ATPの資格要件はアメリカ航空法14 CFR 61.153にあり、その中のe項にATP CTPコースを修了しなければならない旨が定められています。
ATP 資格要件は、以下になります。
年齢制限 | 23歳以上 |
言語理解 | 英語が読める・話せる・書けること |
人格 | モラルがある人格である |
現在所持のパイロットライセンス | 次のうちのいずれかの資格を有することFAAの事業用操縦士14 CFR 61.73に該当する米軍での、経験がある。海外のATP(計器飛行証明の資格を含むもの)、もしくは海外の事業用操縦士と計器飛行証明を所持している。*海外発行のパイロットライセンスは、FAAによる海外航空局とのVerificationが必要です。 |
コース要件 | 学科試験を受験する前に、ATP CTPコースを修了していること |
飛行経験 | 下記の航空経歴要件を満たすこと 総飛行時間1500時間以上 野外飛行時間500時間以上 夜間飛行時間100時間以上 飛行機の場合は50時間以上の飛行機の時間計器飛行時間75時間以上 機長飛行時間250時間以上(100時間の野外飛行時間と25時間の夜間飛行を含む) |
筆記試験 | 合格していること |
実技試験 | 合格していること |
また、アメリカ航空法14 CFR 61.156にはATP CTPの詳細が規定されています。
英語版になりますが、ATP CTPの全容についてはこちらも参考にしてください。
https://www.faa.gov/documentLibrary/media/Advisory_Circular/AC_61-138_CHG_1.pdf
アメリカの航空法
アメリカの航空法についてですが、アメリカの航空法は、CFR(連邦規則:Code of Federal Regulations)の14番目のAeronautics and Apace(航空・宇宙法)に定められています。
航空法の番号の付け方ですが、61はパイロット、教官、資格について規定されており、その次の数字が具体的な法律の中身の番号です。
この番号の付け方にも決まりがありまして、その数字が奇数の時は最初に定められた規定を表し、偶数の場合は最初に定められた法律の改正に該当します。
FARのAIMはこちら ↓
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ATP CTPの訓練内容
ATP CTPの訓練内容については、14 CFR 61.156に定められています。
ATP CTP訓練の概要は、以下の通りです。
学科訓練 | 以下の内容を含む30時間の学科訓練 最低8時間の空気力学 最低2時間の気象学 最低14時間の航空運送についての習得(生理学、通信、チェックリスト、運航管理、MEL、タービンエンジン、輸送カテゴリーの航空機の性能、自動化・航法・飛行警告システム) 最低6時間の教官によるリーダーシップ・能力開発・CRM・安全文化の教示 |
実技訓練 | 最低10時間のシミュレーター訓練(内最低6時間は最大離陸重量40000ポンドの飛行機のシミュレーターで行うこと) |
ATP CTP受講に必要な申請手続きと関連用語の説明
9.11事件以降アメリカでATP CTPやFAA ATPライセンスを取得するための飛行訓練には、申請・許可が必要です。
渡米前に必要な申請や許可がないとATP CTP・ATPパイロットライセンスを含め、アメリカで訓練をすることができないのです。
ここではATP CTP受講前の申請に関連して、理解しておかなければならない用語について解説します。
FTSP(Flight Training Security Program)とは
9.11の事件以降、米国籍以外の外国人がFAAのフライトスクールで訓練を受ける場合は、航空業界や米国に脅威を与えない事が確認されます。
訓練生はフライトスクールでの訓練前に、身分証明の申請を行い訓練許可を得る必要があるのです。
訓練許可を取得するにはネット上の「FTSPサイト」での登録が必要で、訓練学校・訓練地、訓練コース等を入力する必要があるのです。
この申請には12カ月という有効期間や訓練開始日の日数の制限がありますので、注意が必要です。
1回あたりの申請における有効期限は12カ月で、かつ申請完了してから180日以内に訓練を開始しなければなりません。
IACRA(Integrated Airman Certification and Rating Application)とは
IACRAは、アイアクラと呼ばれています。
IACRAとは、FAAがAirman Certification(航空従事者技能証明)やRating(限定変更)関係を取り扱うネット上のサイトです。
License Verification (所持しているJCABライセンスをFAAが認可するプロセス)も、このSiteで申請を行います。
VerificationLetterは、ATP受験時に試験官に提出する必要があります。
IACRA(アイアクラ)サイト:https://iacra.faa.gov/IACRA/Default.aspx
Verificationとは
アメリカにおいて、アメリカ以外の国のパイロットライセンスの証明を受けることです。
現在所持している日本のパイロットライセンスを、FAAに認可してもらうことが必要なのです。
License Verificationは、IACRAのサイトで申請・認可を行います。
FTNとは
IACRAに登録申請後、FAAによって割り当てられる認識番号のことを言います。
この番号は航空経歴の確認や実地試験の際に必要になりますので、忘れないようにしてください。
Psi (Knowledge Test site)とは
Psiとは、アメリカの学科試験に関するサイトです。
アメリカでは学科試験の事をAKT(Airman Knowledge Test)と言い、このPsiのサイトでアカウント登録を行い、学科試験の申込みや受験料の支払手続きを行うことができます。
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私が受験したATPの学科試験は、ATM(Airline Transport Pilot Multiengine Airplane)です。
FAA MedXpressとは
FAA MedXpressとは、FAAの航空身体検査のSiteです。
ここでアカウントを作成し、個人情報、既往歴等の情報を入力して、confirmation Number(受検番号)を取得します。
サマリーシートを印刷して身体検査医(AME:Aviation Medical Examiner)に提出して航空身体検査を受診します。
このconfirmation Numberの有効期間は60日間で、それ以降に受診する場合には再申請の必要があります。
参考申請方法は、LinkのFAA メディカル (航空身体検査) 申請の仕方を参考にしてください。
NATAとは
NATAとは指紋採取を行う際に、このサイトで申請・申請料の支払を行うサイトです。
2022年2月時点で、申請料は$199でした。
指紋をFBIに提出するために、NATAのサイトから日本の指紋採取担当者に直接連絡をとり、指紋を採取してもらいます。
指紋採取時には、FTSPとNATAからのメール、パスポートが必要です。
ESTA(Electronic System for Travel Authorization)電子渡航認証システムとは
航空留学に限らず米国に短期商用・観光等の90日以内の滞在目的で旅行する場合は、査証(ビザ)は免除されていますが、米国に行く前にオンラインで渡航認証を受ける必要があります。
アカウントを作成し申請を完了するには、アメリカでの連絡先・住所・電話番号等の入力が必要です。
ESTAの申請料金$14を、クレジットカードで支払います。
ATP CTPからFAA ATP取得までの流れ
ATP CTPを修了後FAA ATPライセンス取得までの大きな流れは、渡米前の申請・許可手続き、アメリカでの訓練・試験に分けられます。
渡米前の申請・許可手続きの流れは、以下のとおりです。
フライトスクールの決定と訓練の打ち合わせ
- VerificationとFTSPの登録
- 指紋採取
- フライトスクール申込み
- Psiの登録
アメリカでの訓練と試験につきましては、以下の内容です。
- フライトスクールPAN AMでのATP CTPの修了
- FAA ATPの学科試験
- フライトスクールFlightSafety Internationalでの訓練と試験
ATP CTP とFAA ATPライセンス取得のまとめ
いかがでしたでしょうか。
9.11の事件がおきてからアメリカで飛行訓練を開始するには、渡米前に手続きが必要です。
ATP CTPに限らず、アメリカ国籍以外の者がアメリカでパイロットライセンスを取得するための訓練には、FTSP・IACRA・Verificationなどが必要なのです。
ATP CTPとFAA ATPライセンス取得申請手続き・許可については初めて聞く用語も多いです。
また、申請作業のやり取りが英語という事もあり一筋縄では行かないところもありました。
ぜひこの記事を参考にしてATP CTPを修了し、FAA ATPライセンス取得に挑戦してみてください。
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