「航空英語能力証明って何?」
「航空英語能力証明の取得方法は」
「海外でライセンスを取得した場合、帰国後の航空英語能力証明の書き換えの方法は?」
このような疑問を、お持ちではないですか。
この記事では、以下の項目について解説していきます。
- 航空英語能力証明の詳細について
- 航空英語能力証明を取得するための試験について
- 海外でパイロットライセンスを取得してきた場合、国内における航空英語能力証明の書き換えについて
この記事を読めば、航空英語能力証明について理解できるでしょう。
ぜひ、最後までご覧ください。
航空英語能力証明の試験概要
航空英語能力証明試験の概要は、以下のようになっています。
受験課目 | 学科試験と実地試験があります。 学科試験に合格しないと、実地試験に申込みができません。 学科試験は、リスニング試験です。 英会話を聞いて該当する答えを選択します。 実地試験は、試験官との英会話試験です。 渡される絵を見ながら、説明などを行います。 |
受験費用 (航空局で受験時の費用) *指定・登録等を受けた法人で受験する場合の料金は、公表されていません。 | 学科試験22,600円 実地試験29,800円 試験の申請時に、収入印紙で納めます。 |
要件 | 定期運送用操縦士・事業用操縦士・自家用操縦士・准定期運送用操縦士の資格についての技能証明を有する事 |
航空局のHPには航空英語能力証明実地試験実施基準についての資料がありますので、参考にしてください。
航空英語能力証明について
航空英語能力証明は、国際線に乗務するパイロットに必要な資格です。
よって、国内線を飛ぶパイロットには必要ないのです。
航空英語については、将来の乗務に備えて航空大学校でも授業が組み込まれています。
また最近のLCCの航空会社では近距離国際線を飛ぶ路線が多くなってきており、必須の資格の1つになっています。
現在は乗務に必要なくても、取得しておいた方が良い資格の1つです。
航空英語能力証明の資格は、以前には無かった資格です。
航空需要の増大に伴い、パイロットと管制官の通信コミュニケーションの問題に関する事故等が起きてきました。
2003年にICAO(国際民間航空機関)は国際線に乗務するパイロットに英語の能力について、資格を求めることになりました。
この資格を求めることにより、「航空英語能力証明」の資格ができたのです。
それでは、航空英語能力証明の詳細について見ていきましょう。
「航空英語能力証明」航空法の定義
航空法では航空英語能力証明について、以下のように記されています。
航空法第33条 1 技能証明を有する者は、その航空業務に従事するのに必要な航空に関する英語(以下「航空英語」という。)に関する知識及び能力を有することについて国土交通大臣が行う航空英語能力証明を受けていなければ、本邦内の地点と本邦外の地点との間における航行その他の国土交通省令で定める航行を行ってはならない。 2 航空英語能力証明の有効期間は、当該航空英語能力証明を受ける者の航空英語に関する知識及び能力に応じて、国土交通省令で定める期間とする。 航空法施行規則第63 条航空英語能力証明の申請について 航空法施行規則第63条の2 航空英語能力証明の記載について 航空法施行規則第63条の3 航空英語能力証明が必要な航空機の種類 航空法施行規則第63条の4 航空英語能力証明が必要な航行 航空法施行規則第63条の5 航空英語能力証明の有効期間 航空法施行規則第63条の6 指定航空英語能力判定航空運送事業者の指定の申請 |
航空法では航空英語能力証明を受けていなければならない航行とライセンスの必要性が記され、施行規則ではその詳細が記されています。
航空英語能力証明のレベル
航空英語能力証明は、全部で6段階のレベルに分かれています。
受験結果で、自分がどのレベルにいるかがわかります。
しかしレベル1から3は不合格で、航空英語能力証明を取得していることにはなりません。
取得しているとみなされるのは、レベル4から6に該当する場合です。
レベル4から6のいずれかを取得していて、初めて国際線に乗務できるのです。
レベル4から6のいずれかで合格した場合でも、レベルにより資格の有効期間が異なります。
レベルの違いによる有効期間は、以下のようになっています。
レベル | 有効期間 | レベルの程度 |
4 | 3年 | 英語でコミュニケーションができるレベル |
5 | 6年 | レベル4以上でストレスなく英会話ができるレベル |
6 | 無制限 | ネイティブレベル |
レベル6では有効期間が無制限になっており、航空英語能力証明の更新試験を受験する必要がありません。
この資格が始まった当初は外国でパイロットライセンスを取得して日本で書き換えると、レベル6に書き換えられていたようです。
現在は航空英語能力証明を取得している方のほとんどがレベル4で、レベル5はまれにいる程度・レベル6の方はほとんどいません。
レベル6は、帰国子女レベルの方が合格できる程度です。
航空英語能力証明の試験とは
航空英語能力証明の試験は、学科試験と実地試験に分かれます。
学科試験の申込等については、航空局のHPに詳細が書かれているのです。
申請用紙等は航空デパート「ホーブン」等で取り寄せて、申請すると良いでしょう。
学科試験
学科試験の内容は、リスニングのテストになります。
テープから流れる英語を聞いて、該当する答えを選択する形式の試験です。
航空従事者の学科試験は、年に6回行われます。
実施月は、1月・3月・5月・7月・9月・11月です。
学科試験は、7割以上の正解で合格です。
学科試験の過去問を見てみると問題数は42問で、所要時間は1時間となります。
航空英語能力証明過去問
航空英語能力証明の過去問は航空局のHPに掲載されています。
航空英語能力証明の過去問として、試験問題の用紙と音声が掲載されています。
年間6回行われる航空従事者試験の全部の試験問題が、掲載されています。
また航空英語能力証明の実地試験を網羅した解説本なども発行されているので、そちらも参考になります。
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実地試験
実地試験は面接形式で、試験官との1対1のオーラル形式で行うのです。
実地試験の流れは、以下のようになります。
- 簡単な日常英会話
- 1枚の絵を渡されて、その絵について説明する。
- 面接官をATC役として、交信のやり取りを行う。
- 4コマの絵を渡されて、それについて説明する。
実地試験の所要時間は、20分から30分くらいになります。
実地試験の実施機関は、航空局が行う学科試験と実地試験の場合と指定航空英語能力判定航空運送事業者が試験を行う場合があるのです。
指定航空英語能力判定航空運送事業者には、指定・登録等を受けた法人として日本航空と全日空があります。
そこに属する乗員や関係する会社に属する乗員は、指定・登録等を受けた法人で試験を受験することができます。
実地試験の注意事項
実地試験は面接・会話形式で行われます。
英会話時の注意事項として、以下のことに注意しましよう。
・答えについて考えているときなどに、「うーん」「あー」などは使わない。 ・接続詞や関係詞を、適切に使いましょう。 ・時制に注意して、会話しましょう。 |
ふだんから上記の点に注意しながら、状況説明の英語について勉強していきましょう。
航空英語能力証明レベル4 TOEIC
航空英語能力証明はレベル1から6まであり、そのうちレベル4以上が航空英語能力証明の資格を保有していることになります。
では、英語の一般的な資格である英語検定やTOEICではどのくらいのレベルなのでしょうか。
おおよその目安ですが、航空英語能力証明のレベル4は英語検定やTOEICではだいたい以下のようになります。
航空英語能力証明 | 英語検定 | TOEIC | TOEFL |
レベル4 | 英検準1級から1級 | 700~900 | 80 |
かなり、ハイレベルの資格になります。
航空英語能力証明の実地試験は、英会話方式の試験です。
英会話教室に通うなど、英語に日常的に触れていればよりスムースに取得できるでしょう。
帰国後の航空英語能力証明の書き換え申請について
海外でパイロットライセンスを取得した場合は実地試験がすべて英語で行われるので、帰国後に書き換え申請をすれば航空英語能力証明を取得することができます。
書き換えの詳細については航空局のHPにありますので、参考にしてください。
書き換えができる対象としている海外の国は、オーストラリア・ニュージーランド・香港・シンガポール・イギリス・アメリカ・カナダです。
国によって、日本に書き換えのレベルや有効期間が異なります。
私が海外でパイロットライセンスを取得したのは、アメリカです。
アメリカは「切替元国における航空英語能力証明に関する基準」がカナダと同じ区分3になるので、日本で書き換えをした場合のレベルは4で有効期間は約3年となります。
ここでは、私が実際行った切替方法について解説します。
書き換え手順としては以下の通りです。
手順 | 実施内容 | 説明 |
1 | 書き換え申請書類の取り寄せをします。 | 航空デパート「ホーブン」にて取り寄せます。 実地試験試験様式の第19号の2様式を注文しました。 |
2 | 以下の書類を添付し、航空局の航空英語証明係に申請します。 ・第19号の2様式の申請書外国ライセンスの写し ・日本の操縦にかかる技能証明の写し ・納付書返信用封筒 ・その他海外の国により添付書類が異なる | 申請書は「ホーブン」で取り寄せた申請書に記入します。 外国ライセンスの写しは、郵送で送られてきたライセンスの写しを添付します。 アメリカの場合は実地試験後すぐに渡された「TEMPORARY AIRMAN CERTIFICATE」も添付するのです。 納付書は、1,550円の収入印紙を貼付した納付書になります。 返信用封筒には、書留相当として404円分の切手を貼付したものです。 *受験した海外の国により添付書類が異なりますので、注意が必要です。 |
3 | 航空英語能力証明が送られてくる。 | 約1カ月すると、航空英語能力証明のライセンスが送られてきます。 |
航空英語能力証明の切替申請には、外国ライセンスの写しも必要になります。
アメリカのように試験後すぐに渡される「TEMPORARY AIRMAN CERTIFICATE」だけでは不十分です。
帰国後すぐに申請手続きはできませんので、郵送されてくる本ライセンスの到着を待って申請することになります。
航空英語能力証明についてまとめ
いかがでしたか。
国際線を運航するパイロットは、航空英語能力証明の資格が追加で必要になるのです。
航空英語能力証明を取得するには、学科試験と実地試験に合格する必要があります。
海外でパイロットライセンスを取得してきた場合は取得時の試験が英語で行われ、発行されたライセンスに「ENGLISH PROFICIENT」と記されます。
その場合には英会話能力があるとみなされますので、帰国後に日本の航空局に書き換え申請すれば、学科試験・実地試験をすることなく航空英語能力証明を取得できるのです。
航空英語能力証明には資格レベルが分かれていて、それぞれ航空英語能力証明の有効期間が異なるので、注意が必要です。
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