「Flight Safety Internationalのフライトシミュレーター飛行訓練とは?」
「フライトシミュレーター飛行訓練後のFAA ATPの実地試験って?」
「FAA ATPライセンスの受領方法は?」
上記のような考えを、お持ちではないですか。
当記事では、下記の内容について解説していきます。
- Flight Safety Internationalのフライトシミュレーター飛行訓練について
- Flight Safety Internationalでのフライトシミュレーター飛行訓練後のFAA ATPの実地試験について
- FAA ATPライセンスの受領について
当記事をご覧になれば、Flight Safety Internationalでのフライトシミュレーター飛行訓練とFAA ATPの実地試験について理解できるでしょう。
ぜひ、最後までご覧ください。
Flight Safety Internationalのフライトシミュレーター飛行訓練について
Flight Safety Internationalのフライトシミュレーター飛行訓練装置
前回の記事ではFlight Safety InternationalでのFAA ATP訓練について、訓練開始から座学訓練修了までを解説しました。
今回は、座学試験終了後の「フライトシミュレーター飛行訓練」と「フライトシミュレーター飛行訓練後のFAA ATP実地試験」をおもに解説します。
FAA ATP フライトシミュレーター飛行訓練に向けての訓練は、実は座学訓練の段階から始まっています。
座学訓練の後半になると訓練機のシステムと照らし合わせて、フライトシミュレーター飛行訓練前にFTDを使用して飛行手順にそって訓練が行われるのです。
フライトシミュレーター飛行訓練の内容
FAA ATP フライトシミュレーター飛行訓練内容は多岐にわたり、全部で7HOP・14時間です。
FAA ATP フライトシミュレーター飛行訓練前に教官とその日の訓練内容についてブリーフィングがあり、少し休憩をしてからシミュレーター飛行訓練となります。
今までのエアラインでの訓練・試験時は、PF・PM業務の2マンクルーが当たり前でした。
今回の機体は1マンオペレーションができるため、すべての操作を1人で行わなければならなかったのです。
機体の操縦・航空無線や非常事態時のチェックリストの読み上げとその操作すべてを1人で行わなければなりませんでした。
FAA ATP フライトシミュレーター飛行訓練中は飛行機を操縦しているのは自分ただ1人だけでアサーションをしてくれるCREWもおらず、常に自分が行った操作が正しいのか再確認しながら確実に行う必要があります。
FAA ATP フライトシミュレーター飛行訓練の内容をまとめた記録が、下記になります。
下記が、FAA ATP フライトシミュレーター飛行訓練を含む訓練記録です。
RECORD OF TRAINING / CHECKINGの上記部分が座学の訓練記録で、下記部分がFAA ATP フライトシミュレーター飛行訓練記録と試験の記録になります。
FAA ATP フライトシミュレーター飛行訓練時間は、7HOPの14時間・試験時間が2時間で合計16時間となるのです。
Flight Safety Internationalでの「FAA ATPの実地試験」について解説
FAA ATP 7HOPのフライトシミュレーター飛行訓練が終了し教官のお墨付きをもらったら、実地試験を受験できます。
FAA ATP フライトシミュレーター飛行訓練後の実地試験は午後から始まり、終了したのは午後8時を過ぎていたのです。
FAA ATP 試験当日のながれは、以下のようになります。
おおよその時間 | 試験内容 | |
① | 13:30-14:30 | 書類審査 |
② | 14:40-15:20 | ORAL・口述審査 |
③ | 15:20-15:50 | Preflight Check・外部点検 |
④ | 16:00-16:30 | Checkride BRIEF |
⑤ | 16:30-18:45 | FFS (Full Flight Simulator) |
⑥ | 19:00-20:00 | Checkride BRIEF・講評・テンポラリーライセンスの発行 |
それでは順番に、解説していきます。
書類審査
FAA ATP 書類審査は、フライトシミュレーター飛行訓練のブリーフィングで使用している部屋で行われます。
まず、IACRAの個人サイトで要件を確認しながら行います。
IACRAについては、こちらも参考にしてください。
確実にフライトシミュレーター飛行訓練後のFAA ATP実地試験受験の要件を満たしているのか、細かく確認しながら行われました。
なんとすべての書類確認が終わるのに、1時間もかかったのです。
ATP CTPの修了証や学科試験の合格証を、忘れずに持っていきます。
またIACRAサイトにログインしますので、個人のIACRA IDとパスワードを控えて持参してください。
書類審査開始時に、試験官から「IACRAサイトにログインしてください」と伝えられるのです。
ORAL・口述審査
書類審査が終わると、口述審査です。
口述審査は、受検者が機長としてフライトする場合の実践に沿った質問がされました。
質問の例としては、以下のようになります。
あなたは今日、A空港からB空港に飛んでいきます。 燃料は何の種類をどれだけ搭載できますか?燃料消費量はどのくらいですか?燃料タンクやポンプはいくつありますか? など飛行機のシステム・制限事項に関する質問もされるのです。 |
システム・制限事項の返答については、フライトシミュレーター飛行訓練前に行った座学訓練終了試験の復習をしておくと良いでしょう。
Preflight Check・外部点検
Preflight Checkについては外部点検のチェックリストを読み上げながら、パソコン内にある外部点検用のソフトの写真を確認します。
チェックリストを読み上げている最中に、試験官から質問が入ることもあります。
Checkride BRIEF
ブリーフィング前に試験官から搭乗者は何人・燃料搭載は何ポンドと指示を受け、重量重心位置の計算・性能のデータカードの作成を30分間のうちに完成させるのです。
この重量重心位置等の計算は、FAA ATP フライトシミュレーター飛行訓練中に練習するので問題なく完成させることができます。
重量重心位置の計算等が終わったら、重量重心位置の計算表と離着陸の性能データカードを試験官に提示します。
重量重心位置の計算表等を試験官が確認後、FAA ATP フライトシミュレーター飛行試験についての説明を受けてブリーフィングが終了です。
フライトシミュレーター飛行試験・FFS (Full Flight Simulator)
いよいよFAA ATP フライトシミュレーターを使用しての、実地試験です。
FAA ATP 実地試験の試験科目は、以下のようになります。
飛行区間 | KMEM(メンフィス国際空港)~KTPA(タンパ国際空港) |
ENG START~科目 | L/H ABNORMAL ENG START (Hot Start) |
1 | RUNUP : Over Speed GOV (L/H) GOV FAIL |
West FBO~TAXI(West FBO付近はTAXI CL無し) | |
2 | Hold Short C8~Line up & Wait (SMGCS) (LOW VIS) |
T/O RWY 18C | |
3 | RTO (Door Open) |
After T/O RWY HDG、CLM 5000 ft | |
4 | Steep Turn |
5 | Apch STALL |
6 | LDG STALL |
7 | Unusual Recovery |
8 | Return to KMEM(Destination airport Change) |
9 | LOC 27 Circ 18R~Full Stop(MFD INOP) |
10 | T/O RWY 18R~AFT V1 (L/H) |
11 | Level Off後、ENG Air Startの指示あり |
12 | RNAV (GPS)RWY09 Via 〇〇〇〇〇(WAAS U/S)~G/A |
13 | G/A 後のLevel Off ENG FIRE~Manual Thrust |
14 | ILS RWY 36C~MA |
15 | RNAV Z RWY 18 L With Manual Apch(WAAS U/S)~Full Stop |
16 | Visual Circuit~T/O RWY 18C (Left Traffic PTN) Flaps INOP. NO Flaps LDG RWY 18C~Full Stop |
17 | LDG Taxi to C1~Cの辺りでSTOPしてENG Shut Down |
FFS END |
今回の実地試験は1マンオペレーションだったので、大変でした。
またアメリカの空港は日本と違い滑走路が何本もあるので、まちがって指定された以外の滑走路に進入・着陸しないように注意も必要です。
エンジンをシャットダウンしてチェックリストを終了後に試験官から「キャプテン〇〇 Congratulation!」と言われ、合格したんだなと思いホッとしたのです。
Checkride BRIEF・講評
FAA ATP フライトシミュレーターでの実地試験が終わり、フライトシミュレーター飛行訓練を含むすべてのFAA ATPの試験が終了したのです。
デ・ブリーフィングで試験官から講評を頂き、アメリカでは試験後その場でテンポラリーライセンスを受領できます。
FAA ATPライセンスの受領について
フライトシミュレーター飛行訓練後のFAA ATP試験は2022年4月20日に実施して、無事合格できたのです。
日本の試験と違い、試験終了後すぐにテンポラリーライセンスが発行されます。
ライセンスの発行状況については、IACRAサイトから確認できます。
以下は、その時に受領したテンポラリーライセンスです。
A4の紙に印刷されたものですが、正式なFAA ATP テンポラリーライセンスなのです。
正式なカードタイプのFAA ATP ライセンスは、郵送されてきます。
FAA ATP フライトシミュレーター飛行訓練後の実地試験が2022年4月20日に終了し、私が日本で正式なカードタイプのライセンスを受領したのは7月7日でした。
アメリカでのFAA ATP フライトシミュレーター飛行訓練等は、すべて英語で行われます。
正式なカードタイプのライセンスが日本に到着して航空英語能力証明のライセンス申請をし、航空英語証明のライセンスも受領したのです。
航空英語能力証明のライセンスの申請等については、こちらを参考にしてください。
実地試験後、2カ月ちょっとでFAA ATPのライセンスが手元に届いたことになります。
「フライトシミュレーター飛行訓練」と「FAA ATP実地試験」のまとめ
いかがでしたか。
FAA ATP Flight Safety Internationalでのフライトシミュレーター飛行訓練・FAA ATP取得訓練は、7HOP・14時間です。
FAA ATP フライトシミュレーター飛行訓練は座学訓練の後半から、飛行機のシステムと照らしあわせながらFTDを使用して行われます。
FAA ATP フライトシミュレーター飛行訓練に今回使用した飛行機は、ビーチ式キングエアB360 Fusionでした。
この飛行機は1人でのオペレーションができるので、すべての操作を1人で行う必要があります。
フライトシミュレーター飛行訓練後のFAAでの実地試験では、試験後すぐに正式なテンポラリーライセンスが発行されます。
正式なカードタイプのライセンスは実地試験後2カ月ちょっとで日本に到着し、到着後は、航空英語能力証明の申請ができるのです。
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