「航空機が飛ぶ場合に必要なこととは!」
「出発前の確認事項って?」
「出発前の確認事項の当該航空機およびそれに装備すべきものの整備状況は何を確認するの?」
このような疑問をお持ちではないですか。
この記事では出発前の確認事項の【当該航空機およびそれに装備すべきものの整備状況】について、以下の事項について解説していきます。
- 機長の出発前の確認事項の法的根拠等
- 当該航空機およびそれに装備すべきものの整備状況の詳細解説
この記事を読めば、機長の出発前の確認事項の【当該航空機およびそれに装備すべきものの整備状況】について理解できるでしょう。
ぜひ最後まで、【出発前の確認事項・当該航空機およびそれに装備すべきものの整備状況】についてご覧ください。
機長の出発前の確認事項
航空機を運航させる場合、機長は【機長の出発前の確認事項】の確認が必要です。
【機長の出発前の確認事項】は航空法で実施が定められています。
【機長の出発前の確認事項】は全部で6+1項目あります。
6項目のうち一番最初に定められているのが、【当該航空機およびそれに装備すべきものの整備状況】なのです。
自動車の出発前の確認事項について運転手は、各装置の機能が正常であるかを点検しなければなりません。
航空機出発前に機長は航空機そのものの点検の他、所定の項目の確認を実施しなければなりません。
この所定の項目というのが、出発前の確認事項の【6項目+1】なのです。
機長の出発前の確認事項は航空法第73条の2と、航空法施行規則164条の15に規定されています。
航空法の機長の出発前の確認事項は、以下の通りになっています。
航空法第73条の2 出発前の確認
第73条の2 機長は、国土交通省令で定めるところにより、航空機が航行に支障がないことその他運航に必要な準備が整っていることを確認した後でなければ、航空機を出発させてはならない。 |
航空法施行規則164条の15 出発前の確認
第164条の15 法第73条の2の規定により機長が確認しなければならない事項は、次に掲げるものとする。 一 当該航空機及びこれに装備すべきものの整備状況 二 離陸重量、着陸重量、重心位置及び重量分布 三 法第99条第1項の規定により国土交通大臣が提供する情報(以下「航空情報」という。) 四 当該航行に必要な気象情報 五 燃料及び滑油の搭載量並びにそれらの品質(燃料の品質にあつては、当該航空機がピストン発動機又はタービン発動機を装備している場合に限る。) 六 積載物の安全性 2 機長は、前項第1号に掲げる事項を確認する場合において、航空日誌その他の整備に関する記録の点検、航空機の外部点検及び発動機の地上試運転その他航空機の作動点検を行わなければならない。 |
それでは出発前の確認事項の【当該航空機およびそれに装備すべきものの整備状況】の詳細について、みていきましょう。
当該航空機およびそれに装備すべきものの整備状況
出発前の確認事項の【当該航空機およびそれに装備すべきものの整備状況】は、航空機と航空機に装備すべきもの両方の整備・管理がきちんとされているかを確認するのです。
出発前の確認事項の【当該航空機およびそれに装備すべきものの整備状況】について、【当該航空機に装備すべきもの】と【整備状況】に分けて解説していきます。
出発前の確認事項の当該航空機に装備すべきものについては登録証明書などの各種証明書類関係を、整備状況については、航空日誌内に記載がある整備状況等について確認します。
当該航空機およびそれに装備すべきものの整備状況の装備すべきものとは
出発前の確認事項の当該航空機に装備すべきものについては、以下の項目です。
・航空機登録証明書 ・耐空証明書 ・航空日誌 ・その他国土交通省令で定める航空の安全のために必要な書類 |
出発前の確認事項の当該航空機およびそれに装備すべきものの整備状況について、航空法第59条「航空機に備え付ける書類」に規定されています。
それでは、順番に解説していきます。
航空機登録証明書
出発前の確認事項で確認する航空機登録証明書は「航空機登録原簿」に正式に登録されたことを証明します。
自動車における陸運局での登録と同じ考え方です。
登録をすることにより、
- 日本の国籍を取得します
- 第3者に対する対抗力を得ます
日本国籍の取得は、耐空証明を受ける要件となるのです。
また、第3者に対する対抗力はつまり、航空機が登録によって不動産における同様の権利を有することともなります。
なお登録は、1種類だけではありません。
登録の種類
登録には4種類あるのです。
登録には新規・変更・移転・まつ消があります。
4種類の登録の解説は、以下の通りです。
登録の種類 | 登録種類の解説 | 航空法 |
新規 | 登録を受けていない航空機の登録 | 第5条 |
変更 | 定置場、氏名、名称、住所の変更 | 第7条 |
移転 | 所有者の変更 | 第7条の2 |
まつ消 | 第8条の1から3に該当する場合 | 第8条 |
登録証明書の有効期間
登録証明書の有効期間は、まつ消登録が行われるまでです。
耐空証明書
次に、出発前の確認事項で確認する耐空証明書についてです。
自動車の場合、安全に走行するために車検というものがあります。航空機の場合も安全に飛行できることを証明するために、この耐空証明書があります。
耐空性の基準に達していることを証明するのが、耐空証明書です。
耐空証明書にも記載がありますが、耐空証明書は「指定した用途及び運用限界に従ってこれを整備し及び運用するときは、耐空性を有する」ことを証明します。
耐空性とは、当該航空機の強度、構造、性能が安全性を確保するための技術上の基準のことで、基準を定めているのが「耐空性審査要領」です。
「航空機及び装備品の安全性を確保するための技術上の基準」が航空法施行規則付属書で定められ、これをさらに詳しく規定化したものが「耐空性審査要領」なのです。
この用途及び運用限界の内容は「運用限界等指定書」で指定された事項になります。
耐空証明書は、日本の国籍を有していないと受けることができません。
つまり、登録証明書が必要なのです。
また、耐空証明書は航空法10条により国土交通大臣が行うことになっていますが、職権委任により東京航空局長になっています。
耐空証明が停止となるとき
耐空証明が停止になるときは、つぎの場合です。
期限切れ用途及び運用限界に従ってこれを整備し、及び運用しなかったときTCDが出されたとき |
耐空証明が失効になるとき
耐空証明が失効になるときは、つぎの場合です。
まつ消登録が行われたとき |
耐空証明の有効期間
耐空証明の有効期間は通常1年となっていますので、飛行前にこの期間内にあることを確認します。
航空日誌
続いて出発前の確認事項で確認する航空日誌です。
航空日誌には、以下の3種類あります。
・搭載用航空日誌 ・地上備え付け用発動機航空日誌 ・地上備え付け用プロペラ航空日誌 |
搭載用航空日誌の記載内容は、航空法施行規則142条の2で定められています。
搭載用航空日誌には搭載義務があり、搭載用航空日誌を確認すると当該航空機の経歴がわかり、病院でいう患者のカルテのようなものです。
地上備え付け用発動機航空日誌と地上備え付け用プロペラ航空日誌は搭載義務はなく、発動機とプロペラの時間管理を行うものになります。
その他国土交通省令で定める航空の安全のために必要な書類
出発前の確認事項で確認する【その他国土交通省令で定める航空の安全のために必要な書類】の詳細は、航空法施行規則第144条の2に規定されています。
航空法施行規則第144条の2については、以下の通りです。
第144の2 法第59条第4号の国土交通省令で定める航空の安全のために必要な書類は、次に掲げる書類とする。 一 運用限界等指定書 二 飛行規程 三 飛行の区間、飛行の方式その他飛行の特性に応じて適切な航空図 四 運航規程(航空運送事業の用に供する場合に限る。) 2 前項の規定にかかわらず、運航規程に飛行規程に相当する事項が記載されている場合には、飛行規程は法第59条第4号の航空の安全のために必要な書類に含まれないものとする。 |
出発前の確認事項で確認する【その他国土交通省令で定める航空の安全のために必要な書類】は、4つあります。
それでは、順番に解説していきます。
運用限界等指定書
出発前の確認事項で確認する耐空証明書には「指定した用途及び運用限界に従ってこれを整備し及び運用するときは、耐空性を有する」とあります。
この用途及び運用限界を指定するものが、運用限界等指定書なのです。
用途及び運用限界の解説は、以下のとおりになります。
用途 (使いみち) | 耐空類別のことです。この範囲内での飛行が可能です。 |
運用限界 (使いみちの範囲) | 飛行規程2章(限界事項)・3章(非常操作手順)及び追加飛行規程の限界事項および非常操作をさします。 |
用途と運用限界事項を守らなければ耐空性は有しませんので、飛行規程2章(限界事項)・3章(非常操作手順)は暗記しましょう。
飛行規程
出発前の確認事項で確認する飛行規程は、航空機の取扱説明書です。
飛行規程の記載事項の内容も、航空法で定められています。
その内容は以下の通りです。
・航空機の概要 ・航空機の限界事項 ・非常の場合にとらなければならない各種装置の操作その他の措置 ・通常の場合における各種装置の操作方法 ・航空機の性能 ・航空機の騒音に関する事項 ・発動機の排出物に関する事項 |
航空機の運航にあたっての必須事項が、掲載されているのです。
飛行の区間、飛行の方式その他飛行の特性に応じて適切な航空図
出発前の確認事項で確認する飛行の区間、飛行の方式その他飛行の特性に応じて適切な航空図とは、当該運航に必要な航空図です。
適切な航空図は、飛行方式がVFR・IFRによっても違ってきます。
どのような運航を行うかによって、出発前の確認事項で確認する必要な航空図が変わってくるのです。
運航規程(航空運送事業の用に供する場合に限る。)
出発前の確認事項で確認する運航規程とは、航空運送事業者が運航を行うにあたってその実施基準を定めたものです。
出発前の確認事項で確認する運航規程は、航空運送事業を行う場合に限ります。
航空法施行規則第144の2の2には、運航規程に飛行規程に相当する事項が記載されている場合には、飛行規程について航空法第59条第4号の航空の安全のために必要な書類に含まれないものとするともあります。
当該航空機およびそれに装備すべきものの整備状況の整備状況とは
出発前の確認事項で確認する整備状況には、次の事項が含まれます。
・航空機が、正常な運航が行える状態にあること。 ・法律に基づいて定められた整備状況どおりに、各種点検整備が実施されていること。 ・その運航に必要な装置が装備され、正常に作動すること。 |
整備状況の確認において、航空機の健全性を確認するのです。
当該航空機およびそれに装備すべきものの整備状況のまとめ
航空機が運航する場合に機長は、航空法で定められた【機長の出発前の確認事項】を行う必要があります。
機長の出発前の確認事項は全部で、6+1項目あるのです。
機長の出発前の確認事項の1つに【当該航空機およびそれに装備すべきものの整備状況】があります。
【当該航空機およびそれに装備すべきものの整備状況】は、「航空機が飛行する場合に定められた書類が搭載されている」のか・「証明書は有効なもの」なのかを確認するのです。
出発前の確認事項の必要搭載書類にそれぞれ意味があり、多数ありますので意味を理解し忘れないようにしましよう。
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