【出発前の確認事項とは?】気象情報のウェザーブリーフィングについて徹底解説!


「飛行機出発前に確認すべきこととは?」

「機長の出発前の確認事項って?」

「気象情報は何を確認するの?」


このような疑問を、お持ちではないですか。

この記事では【機長の出発前の確認事項:気象】について、以下の事項について解説していきます。


  • 飛行機出発前の確認すべきこと7項目
  • 機長の出発前の確認事項の法的根拠
  • 出発前の確認事項・気象情報について


この記事を読めば、機長の出発前の確認事項【気象情報】について理解できるでしょう。

ぜひ最後まで、出発前の確認事項をご覧ください。


飛行機出発前の確認すべきこと7項目

機長には飛行機が出発する前に、確認しなければならない出発前の確認事項の7つの項目があります。

出発前に空港で、パイロットが旅客機を点検(外部点検)しながら歩いているところを見たことがないでしょうか。

点検(外部点検)も、出発前の確認事項の1つになります。

機長が確認すべき出発前の確認事項7つの項目は、以下の通りです。

機長の出発前の確認事項

・当該航空機及びこれに装備すべきものの整備状況
・離陸重量、着陸重量、重心位置及び重量分布
・法第99条第1項の規定により国土交通大臣が提供する情報(以下「航空情報」という。)
・当該航行に必要な気象情報
・燃料及び滑油の搭載量並びにそれらの品質(燃料の品質にあつては、当該航空機がピストン発動機又はタービン発動機を装備している場合に限る。)
・積載物の安全性

・機長は、前項第1号に掲げる事項を確認する場合において、航空日誌その他の整備に関する記録の点検、航空機の外部点検及び発動機の地上試運転その他航空機の作動点検を行わなければならない。

機長は毎回飛行前に、出発前の確認事項を実施しなければならないのです。


機長の出発前の確認事項の法的根拠

機長は出発前に、出発前の確認事項をしなければなりません。

航空法において、機長は出発前に【出発前の確認事項】をしなければならないと定めているのです。

航空法では出発前の確認について、以下のように記されています。


第73条の2 出発前の確認

機長は、国土交通省令で定めるところにより、航空機が航行に支障がないことその他運航に必要な準備が整っていることを確認した後でなければ、航空機を出発させてはならない。

また航空法施行規則では、機長の出発前の確認事項7項目が以下のように定められています。


第164条の15 出発前の確認

法第73条の2の規定により機長が確認しなければならない事項は、次に掲げるものとする。
 当該航空機及びこれに装備すべきものの整備状況
 離陸重量、着陸重量、重心位置及び重量分布
 法第99条第1項の規定により国土交通大臣が提供する情報(以下「航空情報」という。)
 当該航行に必要な気象情報
 燃料及び滑油の搭載量並びにそれらの品質(燃料の品質にあつては、当該航空機がピストン発動機又はタービン発動機を装備している場合に限る。)
 積載物の安全性

 機長は、前項第1号に掲げる事項を確認する場合において、航空日誌その他の整備に関する記録の点検、航空機の外部点検及び発動機の地上試運転その他航空機の作動点検を行わなければならない。

機長は毎回飛行前に、機長の出発前の確認事項の7項目を確認するのです。

今回は、機長の出発前の確認事項の7項目のうち【当該航行に必要な気象情報】について解説します。


出発前の確認事項・気象情報について

機長が飛行機を出発させる場合の確認事項【出発前の確認事項】の1つに、気象情報があるのです。

機長の出発前の確認事項のうち【当該航行に必要な気象情報】では、以下の事項について現況と予報について最終的に確認します。

出発前の確認事項・気象情報の確認項目の1つ


・出発地の気象情報

・目的地の気象情報

・経路上の気象情報

出発前の確認事項・気象情報を確認するためには、様々な天気図等の情報を参考にするのです。

出発前の確認事項のうち、気象情報・ウェザーブリーフィング方法について解説します。


出発前の確認事項・気象情報・ウェザーブリーフィング方法

ここではパイロットの実地試験にも参考になる、出発前の確認事項・ウェザーブリーフィング(気象情報の確認)の方法について解説します。

出発前の確認事項・気象情報 ウェザーブリーフィングの例

項目解説
出発前の確認事項・気象情報
天気の概況の把握

・天気概況を頭の隅に置き、天気の解析・説明を行います。

・出発地の気象情報

・到着地の気象情報(現況および予報)

・飛行経路上の気象情報(現況および予報)














     つまり、(2024.4.5) 本日の天気概況は…
短期予報解説資料 ←リンクあり
フライトお天気 ←リンクあり

TVの天気予報などを参考に、天気概況を把握します。

後記の天気図を参考に、概況を把握します。

・日本のはるか東には、低気圧があって東北東進。

・低気圧から前線が日本の南、南西諸島を 通って東シナ海にのびています。 

・前線に向かって下層暖湿気が 流入し、大気の状態が非常に不安定になっている。

・衛星画像では前線上の華南から沖縄本付近にかけて発達した対流雲が見られます。

・日本海に高気圧があって東に移動しており、北日本に張り出している。

→ 日本の南は前線の影響で天気が悪く、東北方面は高気圧に覆われ良い天気!
ウェザーブリーフィングの開始…..
出発前の確認事項・気象情報
資料説明

簡単に資料の説明  ((時系列に説明))
「それでは、当該航行に必要な気象情報について説明致します。」

「使用する資料は、こちらになります。」 (資料の提示・説明)

例:こちらが本日午前3時の、地上天気図です。
出発前の確認事項・気象情報
地上天気図から気圧配置の確認

顕著な高圧部や低圧部、顕著を及ぼす前線の説明。

地上天気図は過去のものなので、簡単に説明をする。

中心気圧、移動方向、速度も必要ない。(簡単にさらっと流す)
          ↓ リンクあり
①「まず、前日21時の地上天気図です。」
 
「日本の東には低気圧(992hpa)があって、前線が日本の南・南西諸島を通って東シナ海に伸びています。」

「日本海には高気圧があって、北日本に張り出しています。」
出発前の確認事項・気象情報
同時刻の高層天気図の確認

各高層天気図単独で、詳しい説明・予測はしない
大気の状態をつかむことに主眼をおき、大気全体のイメージをとらえておく

立体的なイメージ・上空に行くほど大気はどうなっているか、下層と比べて大気はどうなのかを確認。わずかな変化でも見逃さない。

その状態(METAR・TAF)と結びつくように、それを見つけたと紹介するイメージ。

指向流の推移予測として、実際のJet気流の流れは200hpa・300hpaではあるが、500hpaの等温線から上層Jetの流れを推測できるが、ここでは500hpaの等高線に注目する。

出発前の確認事項・気象情報
高層天気図の利用例

850hpa
湿域(湿域3℃以下)から、前線解析等を行う。

トラフの傾き下層Jet(強風域の確認で地上の強風や突風などの恐れの確認)

700hpa
850hpaの湿域の場所と比較しながら、前線等の高さを見ます。

850hpaと比較して、低気圧の発生、発達等を見ます。

500hpa
特に寒気の流入や高気圧、低気圧の移動を見ます。

500hpaの風速の1/2が地上の低気圧等の移動の速さと言われています。

高気圧・低気圧の高さや、低気圧の発生、発達を見ます。

解析例)
「低気圧に対応する気圧の谷が見られ、上空に行くに従ってほぼ立っているのが確認できます。また、谷の後面に寒気も確認できます。」
「高層天気図で、上空の大気の状態を見てみます。」

850hpaでは、地上天気図の低気圧に相当する位置にトラフがあり、前線に相当する位置に湿域が確認できて等温線の混んでいるのも確認できます。」
 ↓ リンクあり
気象レーダー気象レーダー東北・雲画像でも、日本の南に降水域が見られます。
   ↓ リンクあり
700hpaでも前線に対応する位置に湿域が確認できます。またトラフも850hpaのトラフと同じ位置か、やや西に傾いています。」
(トラフが西に傾いていると、地上低気圧は発達傾向となる。)
  ↓ リンクあり
500hpaでは、トラフが850hpa・700hpaよりも西に傾いており、風速は約20ktsほどです。」
(500hpaの等高線は北東へ伸び、地上低気圧の進行方向も北東へ。)


出発前の確認事項・気象情報
大気の流れ等の確認

AXFE578(上昇流・渦度)から、FXFE502(渦度)を用いる。

T=12・T=24との確認で移動方向・距離等を把握する。(地上の低気圧は、500hpaの風速の半分の速度で等高線に沿うように移動する。)
(低気圧等の予想位置の把握: 速度×時間=距離)(緯度10°≒600nm)
大気の大きな流れは、上層風の推移(指向風の変遷)を見る。



(前線の位置の確認ー昨日21時の地上天気図と本日21時の予想地上天気図の前線の位置把握)
      ↓ リンクあり
渦度「AXFE578FXFE502を比較しますと、500hpaの等高線(上図)は、ほぼ同じ位置に確認できます。
(日本海の高気圧の移動方向)
また、日本の南には低気圧性循環も見られ、所々渦度の値の高いところが見られます。」



出発前の確認事項・気象情報
寒気・暖気の流れをつかむ

AXFE578(上昇流・渦度)とFXFE5782(上昇流)を用いて比較する。

850hpaの等温線から…寒気や暖気の動きをつかむ。

等温線の変位から、前線の位置の把握と移動方向と上昇流値の変移から前線の発達具合など

出発前の確認事項・気象情報
渦度・上昇流の利用例

700hpa(上昇流)と500hpa(渦度)面に対しての鉛直面の気流の流れを表しています。
斜線の部分が低気圧性の気流の流れを示し、天気が悪い傾向にあることを示します。

例)寒気は南下しており、寒気の流入があります。暖気は…
     ↓ リンクあり
上昇流AXFE578からFXFE5782を比べると(下図)
「上昇流を見ますと、日本の南には上昇域が確認できます。(前線に対応)

また、前線に向かって南西風が確認できます。」(前線に向かっての南西流:下層暖湿気の流入)
「日本のすぐ東から日本の西にかけての等温線は、ほぼ同じ位置にあります。」
出発前の確認事項・気象情報
解析・予報

再び12Zの地上天気図に戻って、予想に基づいて低気圧・高気圧・前線を動かし天気の解析・予想を行う。

例)「前日21時の地上天気図の低気圧・高気圧・前線は…と思われます。(移動方向などを言う)」
「今晩21時の地上天気図では、予想通り低気圧・高気圧・前線が移動してきて、発達は….と予想されます。」
「以上の天気図の確認より、前日21時の地上天気図の低気圧は、北東方向に移動していくと思われます。
(等高線の位置の推移から)
実際今晩21時の地上天気図(←リンクあり)では、予想通り低気圧は北東方向へ移動が予想され、発達傾向と予想されます。」


(地上天気図の気圧値の推移:992hpaから980hpaや渦度上昇流値が分かれば参考にする。)
(低気圧発達ー気圧傾度が急なら強風を予想する)

「また高気圧は、等高線に沿ってそのまま東に移動することが予想されています。」
出発前の確認事項・気象情報
METARの利用例

・現在天気の確認
・離着陸の横風制限
・視程
・シーリング等から、VMCの確認
     ↓ リンクあり
続いてMETARですが、出発地の仙台空港と目的地の福島空港を確認しますと、
    ↓ リンクあり
「RJSS050000Z 31009KT 40KM FEW040CU BKN/// 11/M02 Q1021/A3016=
    ↓ リンクあり
RJSF050000Z 01011KT 50KM FEW050SC BKN070AC BKN/// 07/M01 Q1020/A3014=
とVMCとなっています。」
前日21時からの資料で、現在の天気を説明できた。→さらに予想を進めてフライト可否の判断を行う。


出発前の確認事項・気象情報
TAFの利用例

大まかな予報の確認視程・シーリング等から、VMCを維持できるかの判断。
    ↓ リンクあり
続いてTAFでは、…
TAF RJSS 042305Z 0500/0606 34006KT 9999 FEW030BECMG 0500/0502 14014KTBECMG 0508/0510 32004KTBECMG 0600/0603 13010KT=
TAF RJSF 042305Z 0500/0606 36010KT 9999 FEW030BECMG 0504/0506 17008KT=
となっています。」

以上より基本的に北寄りの風で推移しますが、日中は一時的に南東よりの風になり、シーリング等は問題ないと思われます。」

(日本海の高気圧に覆われ、天気の大きな崩れはないと判断する)(飛行する地方の、大気状態の把握をする。)
出発前の確認事項・気象情報
結論
以上、本日のフライトですが…フライトを行う東北地方は高気圧に覆われ、VMCで推移すると予想されます。

また風が日中南東寄りに変化しますが、天気の大きな変化はなく、本日の飛行は可能と判断します。

(東北地方は、高気圧の後面で南東風または、海陸風などの地形性の影響も考慮する。)
(天気状況によっては、飛行する時間帯の天気と注意点を考慮する)
気象情報 ウェザーブリーフィングの終了….
「以上でウェザーブリーフィングを終了します」
出発前の確認事項・気象情報 
ウェザーブリーフィングまとめ
最初に天気の概略をつかむ
METAR/TAFの確認
天気の概略を頭の隅において天気図の確認
解析・予報を行う
METAR/TAFで詳細な天気の確認
フライト可否の判断を行う
出発地の気象情報
到着地の気象情報(現況および予報)
飛行経路上の気象情報(現況および予報)

出発前の確認事項・気象情報確認のためのウェザーブリーフィングの方法は、いかがでしたか。

ウェザーブリーフィングをスムースに行うには、毎日の出発前の確認事項・気象情報の確認と繰り返しの演習が必要です。

出発前の確認事項・気象情報の確認に使用する資料集

以下に、出発前の確認事項・気象情報の確認に必要な天気図等の資料を列記します。

  • METAR ←リンクあり
  • TAF ←リンクあり

その他参考資料

飛行機を出発させる場合、出発前の確認事項・気象情報の確認では、さまざまな天気図等を確認するのです。

気象情報のウェザーブリーフィングをする際に、参考になる資料を列記します。

参考にしてみてください。

気象情報などにもちいる日本付近の地名・海域名 ←リンクあり

気象情報などに用いるアジア・北西太平洋域の地名・海域名 ←リンクあり

気象情報更新時刻一覧

  ↑ リンクあり

気象情報リンク 


気象庁 ←リンクあり

フライトお天気 ←リンクあり

気象予報士Kasayanのお天気放談 ←リンクあり

ウエザーニュース ←リンクあり


機長の出発前の確認事項・気象情報のまとめ


機長は飛行機を出発させる場合、フライトごとに【出発前の確認事項】をしなければなりません。

出発前の確認事項は安全運航はもちろんのこと、航空法で確認することが義務付けられています。

【出発前の確認事項】は、全部で7つあるのです。

出発前の確認事項【気象情報の確認】には、さまざまな天気図・資料を使用します。

日本には四季があり、気象情報を確認する場合には季節によるお天気の特徴をつかむと良いでしょう。

気象情報の確認やウェザーブリーフィングについては、毎日の天気図等の確認練習が重要です。



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