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「自家用操縦士になるにはどうすればいいの!」
「自家用操縦士になるためにすることは?」
「自家用操縦士の操縦訓練って何をするの?」
このような疑問をお持ちではないですか。
ここでは「自家用操縦士になるには」について詳しく、以下の事項について解説していきます。
下記からジャンプできます
この記事を読めば、「自家用操縦士になるための操縦訓練などに必要なこと」について理解できるでしょう。
ぜひ、最後までご覧ください。
自家用操縦士とは
自家用操縦士の資格を取得するには、操縦訓練や試験のための手続き・航空身体検査に合格できる健康な身心が必要になります。
操縦訓練に関しては自家用操縦士の試験を受けるために、操縦訓練により飛行経歴をつけ、航空法で定められた要件を満たすことが必要なのです。
自家用操縦士試験の要件には、年齢・飛行経歴があります。
では詳しく、自家用操縦士の操縦訓練などについて見ていきましょう。
法的な操縦士の資格について (技能証明)
操縦士の資格には、自家用操縦士・事業用操縦士・准定期運送用操縦士・定期運送用操縦士の資格があります。
航空法第24条には、自家用操縦士などの資格も定められています。
航空法第24条については、以下のとおりです。
航空法 第24条 (資格) 技能証明は、次に掲げる資格別に行う。 定期運送用操縦士 事業用操縦士 自家用操縦士 准定期運送用操縦士 一等航空士 二等航空士 航空機関士 航空通信士 一等航空整備士 二等航空整備士 一等航空運航整備士 二等航空運航整備士 航空工場整備士 |
操縦士・航空士・整備士の各資格(技能証明)が定められ、自家用操縦士も規定されているのです。
自家用操縦士の資格を取るとできること
各操縦士(自家用操縦士)の資格では、操縦できる業務範囲が定められているのです。
航空法第28条には、業務範囲が定められています。
航空法第28条は、以下のとおりです。
航空法 第28条(業務範囲) 別表の資格の欄に掲げる資格の技能証明(航空機に乗り組んでその運航を行う者にあつては、同表の資格の欄に掲げる資格の技能証明及び第31条第1項の航空身体検査証明)を有する者でなければ、同表の業務範囲の欄に掲げる行為を行つてはならない。 ただし、定期運送用操縦士、事業用操縦士、自家用操縦士、准定期運送用操縦士、一等航空士、二等航空士若しくは航空機関士の資格の技能証明を有する者が受信のみを目的とする無線設備の操作を行う場合又はこれらの技能証明を有する者で電波法第40条第1項の無線従事者の資格を有するものが、同条第2項の規定に基づき行うことができる無線設備の操作を行う場合は、この限りでない。 2 技能証明につき第25条の限定をされた航空従事者は、その限定をされた種類、等級若しくは型式の航空機又は業務の種類についてでなければ、別表の業務範囲の欄に掲げる行為を行つてはならない。 3 前2項の規定は、国土交通省令で定める航空機に乗り組んでその操縦(航空機に乗り組んで行うその機体及び発動機の取扱いを含む。)を行う者及び国土交通大臣の許可を受けて、試験飛行等のため航空機に乗り組んでその運航を行う者については、適用しない。 |
自家用操縦士・業務範囲の別表については、以下のとおりになっています。
資格 | 業務範囲 |
自家用操縦士 | 航空機に乗り組んで、報酬を受けないで、無償の運航を行う航空機の操縦を行うこと。 |
自家用操縦士は、一切の金銭を受けない業務範囲の操縦を行えるのです。
・【報酬を受けない】とは、一切の給料等をもらわないこと。
・【無償の運航】とは、航空機によって人や物を空輸した場合、その運賃や料金等を一切受けとれないことです。
自家用操縦士になるための操縦訓練手順
自家用操縦士の操縦訓練を開始するには、操縦練習許可証や無線免許が必要になります。
操縦練習許可を申請・取得し、また無線従事者免許も取得してから操縦訓練を開始する必要があるのです。
自家用操縦士になるには以下の手順に沿って操縦訓練準備や自家用操縦士受験が必要になります。(下記をクリックするとジャンプできます。)
1.操縦訓練開始のための操縦練習許可証・無線免許の取得
自家用操縦士の操縦訓練を行うには、操縦練習許可証や無線免許が必要です。
自家用操縦士の操縦訓練については航空法で、また無線免許については電波法でそれぞれ定められています。
自家用操縦士の操縦訓練に関しては、航空法施行規則第67条で以下の様になっているのです。
航空法施行規則 第67条(航空機の操縦練習) 法第35条第1項第1号の許可を受けようとする者は、航空機操縦練習許可申請書(航空身体検査指定機関において申請前1月以内に受けた身体検査の結果を記載したもの。第26号様式)を国土交通大臣に提出しなければならない。 2 前項の申請書には、写真2葉及び戸籍抄本若しくは戸籍記載事項証明書又は本籍の記載のある住民票の写しを添付しなければならない。 |
自家用操縦士操縦訓練のための操縦練習許可証の申請は、【航空機操縦練習許可申請書】を提出する必要があります。
操縦練習許可証
自家用操縦士操縦訓練のための操縦練習許可証の申請には、以下の要件を確認しましょう。
- 滑空機以外の操縦練習許可申請は、16歳以上。
- 第2種身体検査基準に、適合すること。
自家用操縦士操縦訓練のための操縦練習許可証申請の詳細は、航空機操縦練習許可申請要領(←リンクあり)に定められているのです。
航空身体検査基準については、航空法施行規則第61条の2(身体検査基準及び航空身体検査証明書)にあります。
資格 | 身体検査基準 | 航空身体検査証明書 |
定期運送用操縦士事業用操縦士准定期運送用操縦士 | 第1種 | 第1種航空身体検査証明書 |
自家用操縦士一等航空士二等航空士航空機関士航空通信士 | 第1種又は第2種 | 第1種航空身体検査証明書又は第2種航空身体検査証明書 |
航空身体検査医で、第2種基準の航空身体検査を受診する必要があるのです。
航空身体検査についての詳細は、こちらを参考にしてください。
→ 航空従事者の医学適性や航空身体検査の証明について(国土交通省)(←リンクあり)
無線従事者免許
航空に関する無線免許(←リンクあり 日本無線協会)には、航空無線通信士と航空特殊無線技士があるのです。
無線従事者の資格と操作の範囲は、電波法で定められています。
電波法施行令第3条には、無線設備の操作の範囲が具体的に定められているのです。
電波法施行令 第3条 次の表(←リンクあり電波法施行令)の上欄に掲げる資格の無線従事者は、それぞれ、同表の下欄に掲げる無線設備の操作(アマチュア無線局の無線設備の操作を除く。以下この項において同じ。)を行い、並びに当該操作のうちモールス符号を送り、又は受ける無線電信の通信操作(以下この条において「モールス符号による通信操作」という。)及び法第39条第2項の総務省令で定める無線設備の操作以外の操作の監督を行うことができる。 |
電波法施行令の資格と操作の範囲については、次の表を参照してください。
資格 | 操作の範囲 |
航空無線通信士 | 1 航空機に施設する無線設備並びに航空局、航空地球局及び航空機のための無線航行局の無線設備の通信操作(モールス符号による通信操作を除く。) 2 次に掲げる無線設備の外部の調整部分の技術操作 イ 航空機に施設する無線設備 ロ 航空局、航空地球局及び航空機のための無線航行局の無線設備で空中線電力250ワット以下のもの ハ 航空局及び航空機のための無線航行局のレーダーでロに掲げるもの以外のもの |
航空特殊無線技士 | 航空機(航空運送事業の用に供する航空機を除く。)に施設する無線設備及び航空局(航空交通管制の用に供するものを除く。)の無線設備で次に掲げるものの国内通信のための通信操作(モールス符号による通信操作を除く。)並びにこれらの無線設備(多重無線設備を除く。)の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作 1 空中線電力50ワット以下の無線設備で25,010キロヘルツ以上の周波数の電波を使用するもの 2 航空交通管制用トランスポンダで前号に掲げるもの以外のもの 3 レーダーで第1号に掲げるもの以外のもの |
航空無線通信士は、航空運送事業の用に供する航空機の無線設備の操作に必要になり、航空特殊無線技士は、航空運送事業の用に供する航空機を除く航空機の無線設備操作に必要です。
2.操縦訓練の開始 (操縦練習飛行許可申請)
操縦練習許可証と無線従事者免許がそろったら、自家用操縦士操縦訓練のための【操縦練習飛行許可申請】をします。
操縦練習許可証の申請ではなく、操縦練習飛行許可申請です。
操縦訓練のために、航空法第92条(操縦練習飛行等)に従い申請が必要なのです。
航空法 第92条(操縦練習飛行等) 航空機は、航空交通管制区又は航空交通管制圏においては、左に掲げる飛行(曲技飛行等を除く。)を行なつてはならない。ただし、国土交通大臣の許可を受けた場合は、この限りでない。 1) 操縦技能証明(自衛隊法(昭和29年法律第165号)第107条第5項の規定に基づき定められた自衛隊の使用する航空機に乗り組んで操縦に従事する者の技能に関する基準による操縦技能証明に相当するものを含む。次号において同じ。)を受けていない者が航空機に乗り組んで操縦の練習をする飛行 2) 操縦技能証明を有する者が当該操縦技能証明について限定をされた範囲の航空機以外の航空機に乗り組んで操縦の練習をする飛行 3) 航空機の姿勢をひんぱんに変更する飛行その他の航空交通の安全を阻害するおそれのある飛行で国土交通省令で定めるもの 2 前条第2項の規定は、航空機が前項第三3に掲げる飛行(これに該当する同項第一1又は第2号に掲げる飛行を含む。)を行なおうとする場合に準用する。 |
航空法第92条(操縦練習飛行等)のとおり、航空交通管制区または航空交通管制圏において操縦練習を行うには、自家用操縦士操縦訓練のための操縦練習飛行許可申請が必要なのです。
3.操縦訓練 (空中操作・離着陸・航法)
操縦訓練は自家用操縦士試験申請の要件にもありますが、以下の操縦訓練を行う必要があります。
まずは飛行機になれるための操縦訓練として、空中操作があります。
空中操作には、低速飛行・失速等の操縦訓練科目があるのです。
ある程度操縦になれたら、離着陸の操縦訓練を集中的におこないます。
離着陸では教官を同乗させずに、自分だけで操縦をおこなう単独飛行をめざすのです。
単独飛行に係る安全基準(飛行機)については、こちらを参考にしてください。
→ 単独飛行に係る安全基準(飛行機)(←リンクあり)
最後の操縦訓練科目は、航法をおこないます。
メインの操縦訓練飛行場等から別の町や飛行場に行き、離着陸をおこないます。
その際にも上空で迷子にならないように、上空の風を考慮して到着予定時間も正確に計算する必要がある操縦訓練です。
自家用操縦士操縦訓練は操縦訓練の進度により、操縦訓練科目を進めていきます。
4.学科試験準備
自家用操縦士操縦訓練と並行して、学科試験の準備もおこないます。
自家用操縦士の試験を受けるには、学科試験に合格していなければなりません。
試験については、航空法第29条(試験の実施)にあります。
航空法 第29条(試験の実施) 国土交通大臣は、技能証明を行う場合には、申請者が、その申請に係る資格の技能証明を有する航空従事者として航空業務に従事するのに必要な知識及び能力を有するかどうかを判定するために、試験を行わなければならない。 2 試験は、学科試験及び実地試験とする。 3 学科試験に合格した者でなければ、実地試験を受けることができない。 4 国土交通大臣は、外国政府の授与した航空業務の技能に係る資格証書を有する者について技能証明を行う場合には、前3項の規定にかかわらず、国土交通省令で定めるところにより、試験の全部又は1部を行わないことができる。独立行政法人航空大学校又は国土交通大臣が申請により指定した航空従事者の養成施設の課程を修了した者についても、同様とする。 5 前項の指定の申請の手続、指定の基準その他の指定に関する実施細目は、国土交通省令で定める。 6 国土交通大臣は、第4項の指定を受けた者が前項の国土交通省令の規定に違反したときは、当該指定を受けた者に対し、当該指定に係る業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命じ、6月以内において期間を定めて当該指定に係る業務の全部若しくは1部の停止を命じ、又は当該指定を取り消すことができる。 |
自家用操縦士学科試験の科目については、航空法施行規則第46条 別表3にあります。
別表3は、以下のとおりです。
資格 | 技能証明の限定をしようとする航空機の種類若しくは等級又は業務の種類 | 科目 |
自家用操縦士 | 飛行機、回転翼航空機又は飛行船 | ・ 航空工学 ・飛行理論に関する一般知識・飛行機、回転翼航空機又は飛行船の構造及び機能に関する一般知識・積載及び重量配分の基本原則並びにその飛行に及ぼす影響 |
・ 航空気象(簡略な概要) | ||
・ 空中航法 ・地文航法及び推測航法(概要)・有視界飛行方式による運航に係る飛行計画の作成に必要な知識・運航方式の概要・人間の能力及び限界に関する一般知識 | ||
・ 航空通信(概要) ・有視界飛行方式による運航に係る航空通信に関する一般知識 | ||
・ 航空法規 ・国内航空法規・国際航空法規(概要) |
自家用操縦士学科試験には航空法施行規則第48条の2(試験の免除)により、試験の免除もあります。
最初に自家用操縦士学科試験全科目を受験し、学科試験の合格の通知を受けた日から1年以内に行われる学科試験に限り科目免除があるのです。
学科試験は毎年、5月・7月・9月・11月・1月・3月の6回行われます。
学科試験については、こちら ↓ のblogも参考にしてください。
【定期運送用操縦士の学科試験って?】試験のCBT化についても詳細解説!←リンクあり
5.自家用操縦士の実地試験申請
操縦訓練が進んで飛行経歴を満たしたあとの自家用操縦士試験の申請には、要件があります。
自家用操縦士試験の申請時において、17歳以上の年齢と飛行経歴が必要です。
航空法施行規則第43条(技能証明等の要件)には、年齢制限・飛行経歴について定められています。
飛行経歴について定めてある別表第2は、以下のとおりです。
資格又は証明 | 飛行経歴その他の経歴 |
自家用操縦士 | 1飛行機について技能証明を受けようとする場合は、次のイ又はロに掲げる飛行機の区分に応じ、当該イ又はロに定める経歴 イ ロに掲げる飛行機以外の飛行機 飛行機による次に掲げる飛行を含む40時間(模擬飛行時間を有するときは、当該時間(5時間を限度とする。)を減じた時間とすることができる。)以上の飛行時間(滑空機、回転翼航空機又は飛行船について操縦者の資格を有する場合は、自家用操縦士の資格を有するときは、その機長としての飛行時間の3分の1若しくは10時間のうちいずれか少ない時間又は定期運送用操縦士若しくは事業用操縦士の資格を有するときは、その機長としての飛行時間の2分の1若しくは20時間のうちいずれか少ない時間のうちいずれかを充当することができる。)を有すること又は独立行政法人航空大学校若しくは指定航空従事者養成施設において飛行機による次に掲げる飛行を含む35時間 (模擬飛行時間を有するときは、当該時間(5時間を限度とする。)を減じた時間とすることができる。)以上の飛行訓練を受けたこと。 (1) 10時間以上の単独飛行 (2) 出発地点から270キロメートル以上の飛行で、中間において2回以上の生地着陸をするものを含む5時間以上の単独操縦による野外飛行 (3) 夜間における離陸、着陸及び航法の実施を含む20時間以上の同乗教育飛行 |
自家用操縦士の実地試験申請に際し、操縦訓練の総飛行時間・操縦訓練科目ごとの飛行時間の制限が定められているのです。
6.実地試験
自家用操縦士学科試験に合格すると、実地試験を受けることができます。
学科試験合格以外にも操縦訓練を行い、飛行経歴等の自家用操縦士受験申請の要件を満たしておく必要があるのです。
操縦訓練を終え、自家用操縦士の実地試験受験時には、口述試験と実技試験があります。
自家用操縦士試験の実施については航空法29条にもある通り、操縦訓練を行った空港等に航空局の試験官を呼び、1対1で実地試験を行う必要があるのです。
口述試験は試験官の質問に対してきちんと答えられるか、実技試験は試験官と飛行機に搭乗して、操縦訓練通りに空中操作・離着陸・航法の科目の試験をおこないます。
これらの試験科目をおこない判定基準に達していると判断されると合格となり、自家用操縦士の資格(技能証明)を取得できるのです。
また実地試験の詳細は、操縦士実地試験実施基準(←リンクあり)や操縦士実地試験実施細則 自家用操縦士 (1人で操縦できる飛行機)(←リンクあり)で定められています。
自家用操縦士になるためのまとめ
自家用操縦士になるためには、学科試験・実地試験に合格する必要があります。
自家用操縦士学科試験には【航空工学・航空気象・通信・航法・航空法規】の科目の試験があり、実地試験には口述試験と実技試験があるのです。
操縦訓練を終え自家用操縦士試験の申請時には申請要件を満たす必要があり、要件には年齢と飛行経歴があります。
飛行経歴を満たすために操縦訓練を行う場合は航空身体検査を受けて操縦練習許可証を取得したり、無線の免許も取得する必要があるのです。
自家用操縦士操縦訓練の科目には、空中操作・離着陸・航法があります。
操縦訓練をおこない飛行経歴を満たし操縦技能が所定の水準を満たすと、自家用操縦士の実地試験を受けます。
実地試験の判定基準を満たしていると航空局の試験官に判断されると、自家用操縦士の資格を手にすることができるのです。
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