「自家用操縦士の操縦訓練って何をするの?」
「自家用操縦士の操縦訓練科目のSLOW FLIGHTって!」
「自家用操縦士の操縦訓練科目の注意点とは?」
このような疑問をお持ちではないですか。
ここでは自家用操縦士の操縦訓練科目【SLOW FLIGHT】について、詳しく以下の事項について解説していきます。
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この記事を読めば、自家用操縦士の操縦訓練科目【SLOW FLIGHT】について理解できるでしょう。
ぜひ、最後までご覧ください。
自家用操縦士の操縦訓練科目について
自家用操縦士の操縦訓練課目は、大きく3つに分けられるのです。
自家用操縦士の実地試験には、操縦課目の試験があります。
操縦課目には大きく分けて、空中操作・離着陸・野外飛行の3つの課目があるのです。
今回のblogから自家用操縦士の各操縦訓練課目について、詳細を解説していきます。
自家用操縦士になるための資格取得までの流れや 操縦訓練内容について解説は、以下のブログも参考にしてください。
( ↓ リンクあり)
【自家用操縦士になるには?】資格取得までの流れや操縦訓練内容について解説!
自家用操縦士の操縦訓練科目【SLOW FLIGHT】について
自家用操縦士操縦訓練科目の空中操作には、SLOW FLIGHTがあります。
空中操作の操縦訓練科目の中には、以下の科目があるのです。
- 低速飛行 (SLOW FLIGHT)
- 失速と回復操作
- 基本的な計器による飛行 (基本操作・レーダー誘導による飛行・異常な姿勢からの回復)
今回は、自家用操縦士の操縦訓練科目【SLOW FLIGHT】について解説していきます。
自家用操縦士の操縦訓練科目・SLOW FLIGHTの目的
自家用操縦士の操縦訓練科目【SLOW FLIGHT】の目的などについては、以下のとおりです。
【SLOW FLIGHT】の目的 速度および飛行形態の変化に対応した操縦感覚の変化を体得して、正しい操縦能力を向上させる。 【SLOW FLIGHT】のトルク修正とトリム調整について 失速速度に近い低速における操縦法・操縦感覚、失速速度付近まで飛行状態を移行させるための操縦感覚、正しい姿勢変化を学ばせる。 【SLOW FLIGHT】の3形態 巡航飛行状態からSLOW FLIGHTへの形態変化・SLOW FLIGHT中の操作・SLOW FLIGHTから巡航飛行状態への形態変化 |
SLOW FLIGHTでは上記の点について、操縦感覚等を学びます。
自家用操縦士の操縦訓練科目・SLOW FLIGHTパターンフライト概要
自家用操縦士の操縦訓練科目【SLOW FLIGHT】のパターンフライトの概略は、以下の図の通りです。
それでは、詳細の手順を確認していきましょう。
自家用操縦士の操縦訓練科目・SLOW FLIGHT操縦手順例
1.科目開始前の巡航形態諸元
- 速度95kts
- Power 2200rpm
- Mixture Full Rich
2.科目開始前に巡航確認(CRZ CHK)を行う
- AREA CLEAR
- 目標設定
- ENG INST CHK
- MIX FULL RICH
- CARB HEAT HOT
- Power 1500rpm
3.SLOW FLIGHTの形態へ
- 設定速度(55kts)の5kts手前で、CARB HEAT COLD
- Power 1700rpm (目安)
4.SLOW FLIGHTの形態確認
- A/S・HDG・高度を確認し、”STABILIZE”とCALL
5.上昇
- Power 2200rpm (目安)
- 上昇率 300~500fpm
- 操縦訓練開始高度から100ft上昇したら、BANK10°で左上昇旋回
- 操縦訓練開始方位から左90度向いたら、ROLL OUT
- 操縦訓練開始高度から500ft上昇したら、LEVEL OFF
6.上昇からLEVEL OFF、SLOW FLIGHTの形態確認
- Power 1700rpm (目安)
- A/S・HDG・高度”、”STABILIZE”とCALL
7.降下に移行
- CARB HEAT HOT
- Power 1200rpm (目安)
- 降下率 300~500fpm
- 100ft降下したら、BANK10°右降下旋回
- 操縦訓練開始方位になったら、ROLL OUT
- 操縦訓練開始高度になったら、LEVEL OFF
8.SLOW FLIGHTの形態確認
- A/S・HDG・高度を確認し、”STABILIZE”とCALL
9.巡航形態へRecovery
- MAX Power
- 90KtsでPower 2200rpm
10.操縦訓練科目終了
- A/S・HDG・高度を確認し、”STABILIZE”とCALL
以上が、手順になります。
しかし実際には飛行機の形態が変わるとそれに伴い飛行機の高度・方位が変化しやすくなるので、高度・方位が変わらないように操縦操作が必要です。
次項に飛行形態変化に伴う、操縦操作の重点を解説していきます。
自家用操縦士の操縦訓練科目【SLOW FLIGHT】の重点すべきこと
前項では、自家用操縦士の操縦訓練科目の【SLOW FLIGHT】の操作手順について解説しました。
ここでは、手順に対する重点を解説します。
自家用操縦士の操縦訓練科目・SLOW FLIGHT操縦手順に沿った重点
1.科目開始の巡航形態諸元
巡航形態諸元 | 重点 |
速度95kts Power 2200rpm Mixture Full Rich | ・巡航形態で、TRIM OFFされていることを確認する。 ・基準となるTRIM位置になる。 |
2.科目開始前に巡航確認を行う (CRZ CHK)
手順 | 重点 |
目標設定 Power 1500rpm | ・目標設定SLOW FLIGHTの形態変更でピッチが上がるので、目標設定は、なるべく遠方でやや上空の目標を取ります。 ・Power 1500rpmPowerを絞ることによって機首が少し右に向くので、左ラダーをあてる。 また機首も下がるので、ラフトリムを3回ほどPitch Up側に取り、高度が下がらないようにささえます。 ・Powerの操作時は目標を見ながら行い、方位が変わらないように注意します。 |
3.SLOW FLIGHTの形態へ
手順 | 重点 |
Power 1700rpm(目安) | ・Power 1700rpm(目安)Powerを1700rpmにすると機首が左に向くので、右ラダーをあててます。Power ・1700rpmは目安のパワーで、高度を維持できるパワーになります。 |
4.SLOW FLIGHT形態確認
手順 | 重点 |
A/S・HDG・高度を確認し、STABILIZE”とCALL | ・A/Sが設定された速度で安定していて、方位が操縦訓練開始前の方位で目標がずれていないこと、高度がずれていないことを確認して、”STABILIZE”とCALLします。 |
5.上昇
手順 | 重点 |
Power 2200rpm 上昇率 300~500fpm 操縦訓練開始高度から100ft上昇したら、BANK10°で左上昇旋回 操縦訓練開始方位から左90度向いたら、ROLL OUT 操縦訓練開始高度から500ft上昇したら、LEVEL OFF | ・Powerを足すと機首が上がるので、上昇Pitch角度で止め、ラフトリムをとり、安定したらリトリムを取る。 ・またPowerを足すと同時に右ラダーでHDGのズレに注意する。 ・上昇左旋回ではやや右ラダーを弱める。 ・上昇左旋回からのロールアウトでは、多めの右ラダーで滑らないように所定のHDGでロールアウトさせる。 |
6.上昇からLEVEL OFF、SLOW FLIGHT形態確認
手順 | 重点 |
Power 1700rpm A/S・HDG・高度”、”STABILIZE”とCALL | ・Power 1700rpmは目安のパワーで、高度を維持できるパワーになります。 ・LEVEL OFF要領は所定高度に機体を載せるような感じで、パワーリデュースと共に右ラダーを抜く。 ・A/S・HDG・高度とCALL・安定を確認して、”STABILIZE”とCALLする。 |
7.降下に移行
手順 | 重点 |
CARB HEAT HOT Power 1200rpm 降下率 300~500fpm 100ft降下したら、BANK10°右降下旋回 操縦訓練開始方位になったら、ROLL OUT 操縦訓練開始高度になったら、LEVEL OFF | ・目標を確認しながら、Powerを目安の1200rpmにしながら、若干の左ラダー。 ・Powerを絞ると機首が下がるので、降下Pitch角度で止め、ラフトリムをとり、安定したらリトリムを取る。 ・右降下旋回時は、降下開始時の左ラダーを抜く感じで。 ・右旋回ロールアウト時左ラダーでロールアウトし、目標を確認。 ・LEVEL OFF時のPowerは、目標を確認しながら右ラダーと共に足す。 |
8.SLOW FLIGHT形態確認
手順 | 重点 |
A/S・HDG・高度を確認し、STABILIZE”とCALL | ・A/S・HDG・高度とCALL・安定を確認して、”STABILIZE”とCALLする。 |
9.巡航形態へRecovery
手順 | 重点 |
MAX Power 90KtsでPower 2200rpm | ・リカバリー時のPowerは、目標を注視しながら、HDG・ALTに注意しながら右ラダーと共に足し、ラフトリムを取ります。 ・Power 2200rpmにして安定したら、リトリムを取ります。 |
10.操縦訓練科目終了
手順 | 重点 |
A/S・HDG・高度を確認し、STABILIZE”とCALL | ・A/S・HDG・高度とCALL・安定を確認して、”STABILIZE”とCALLする。 |
自家用操縦士の操縦訓練科目・USE FLAPのSLOW FLIGHTについて
USE FLAPのSLOW FLIGHTの速度は、50Ktsで行います。
NO FLAPのSLOW FLIGHTの速度より、5Kts少ない速度です。
USE FLAPのSLOW FLIGHTの上昇の目安の速度は、MAX POWERです。
MAX POWERでも上昇レート(300〜500fpm)が得られないときは、速度50Ktsを守り上昇していきます。
自家用操縦士の操縦訓練科目・SLOW FLIGHTの誤りやすい点
SLOW FLIGHTの誤りやすい点を、まとめます。
それぞれの対処方法を参考にして、訓練に臨んでください。
誤りやすい点 | 対処方法 | |
1 | 速度の維持不良 | ・Pitch Controlの変化が大きく、前を見ておらず、安定していない。 ・目標の確認に重点をおく |
2 | 針路・高度の不適切なComtrol | ・計器のHDG・ALTに頼りすぎない ・目標の確認に重点をおく |
3 | 予期しない失速 | ・速度のCross CHK遅れ |
4 | 三舵の調和不良 | ・特性を理解していない ・追っかけ操縦をしない |
5 | 不適切なPOWER CONTROL | ・目安のPOWERを覚える |
また、フライト前のイメージフライトも重要です。
納得いくまで、イメージフライトを行ってください。
自家用操縦士の操縦訓練科目【SLOW FLIGHT】まとめ
自家用操縦士の操縦訓練科目・SLOW FLIGHTは、巡航時とは違う低速時の操縦感覚の体得を目的とします。
自家用操縦士の操縦訓練科目・SLOW FLIGHTでは、巡航状態からSLOW FLIGHT・SLOW FLIGHT中・SLOW FLIGHTから巡航状態への3形態があるのです。
自家用操縦士の操縦訓練科目・SLOW FLIGHTの形態変更は、パワーの出し入れに伴いHDG・ALTの変化を大きく伴います。
それぞれの形態変更でHDG・ALTをずらさないように、Powerの出し入れに伴う飛行機の影響をあらかじめ考慮して修正操作をしましよう。
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