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「セスナ172はどんな飛行ができるの?」
「セスナ172飛行方法の種類?運用様式って!」
「着氷・飛行機についた氷はどうやって取るの?」
このような疑問をお持ちではないですか。
ここでは運用様式と着氷関係について、詳しく以下の事項について解説していきます。
- セスナ172の運用様式について
- セスナ172の運用様式の中身とは
- セスナ172の着氷状況での飛行について
この記事を読めば、セスナ172の運用様式と着氷全般について理解できるでしょう。
ぜひ、最後までご覧ください。
セスナ172の運用様式限界とは
セスナ172は必要な装備を施した場合に、定められた運用様式で飛行することができるのです。
この限界のことを運用様式限界といい、セスナ172では飛行規程 第2章で定められています。
セスナ172の運用様式判定表にある必要な装置には、ジャイロ式姿勢指示器や精密高度計・ピトー管凍結防止装置付速度計などがあります。
セスナ172は必要な装置を装備した場合に、運用様式限界の以下7種類の飛行ができるのです。
それぞれのセスナ172の運用様式について、解説していきます。
セスナ172の運用様式限界の中身について
セスナ172の運用様式には、7種類あります。
セスナ172の運用様式限界について、詳しく見ていきましょう。
計器飛行方式による飛行
計器飛行方式については、航空法第2条に定められています。
「計器飛行方式」とは、次に掲げる飛行の方式をいいます。 1 第13項の国土交通大臣が指定する空港等からの離陸及びこれに引き続く上昇飛行又は同項の国土交通大臣が指定する空港等への着陸及びそのための降下飛行を、航空交通管制圏又は航空交通管制区において、国土交通大臣が定める経路又は第96条第1項の規定により国土交通大臣が与える指示による経路により、かつ、その他の飛行の方法について同項の規定により国土交通大臣が与える指示に常時従つて行う飛行の方式 2 第14項の国土交通大臣が指定する空港等からの離陸及びこれに引き続く上昇飛行又は同項の国土交通大臣が指定する空港等への着陸及びそのための降下飛行を、航空交通情報圏(航空交通管制区である部分を1項の規定により国土交通大臣が提供する情報を常時聴取して行う飛行の方式 3 第1号に規定する飛行以外の航空交通管制区における飛行を第96条第1項の規定により国土交通大臣が経路その他の飛行の方法について与える指示に常時従つて行う飛行の方式 |
計器飛行方式とは条文にすると非常に長い文章になりますが、常に国土交通大臣の指示に従って行う飛行という事になります。
また、計器飛行方式では飛行するにあたっては、必要な装置を装備していることが必要になります。必要な装置は運用様式限界判定表にも定められています。
計器飛行
「計器飛行」とは、航空機の姿勢、高度、位置及び針路の測定を計器にのみ依存して行う飛行のことです。 |
計器飛行についても、航空法第2条に定められています。
計器飛行は計器にのみに依存して飛ぶので、十分な装置が装備されていることが要求されているのです。
必要な装備については、航空法第60条 (航空機の航行の安全を確保するための装置)にも定められています。
計器航法による飛行
「計器航法」とは、計器飛行以外の航空機の位置および針路の測定を計器のみに依存して行う飛行です。 |
計器航法による飛行は、航空法第34条(計器飛行証明及び操縦教育証明)に定められています。
計器航法による飛行についても、航空法で必要な装置の装備義務が定められています。
計器航法による飛行とは、洋上や雲上での飛行があげられます。
航空法による計器航法による飛行の国土交通省令で定める距離は110キロメートルとし、定める時間は30分とするとあるのです。
どちらか短いものを超えて飛行する場合はさらに、計器飛行証明の資格が必要になります。
セスナ172では50nmになるのです。
{110km(59nm)、セスナ172巡航速度の100ktで30分=50nm}
計器航法による飛行以外の有視界飛行
「計器航法による飛行以外の有視界飛行」とは、有視界による飛行方式を言います。 |
有視界による飛行方式とは航空法施行規則第6条の2において、計器飛行方式以外の飛行の方式になります。
夜間飛行
夜間とは、日没から日出までの間をいいます。 |
夜間に飛行する場合には、飛行機に着陸灯や衝突防止灯など夜間飛行に必要な各種ライトが装備されていることはもちろんのこと、チャートを確認するために携帯灯も必要になるのです。
昼間飛行
昼間飛行とは、夜間飛行以外を言います。 |
つまり、日の出から日没までの間に飛行することになるのです。
高高度飛行
高高度飛行とは、「3,000m以上の飛行」と運用様式に規定されています。 |
高高度飛行には、酸素供給装置が必要になるのです。
セスナ172は非与圧機なので3,000mから4,000mまでの高度で飛行する場合には注意が必要になります。
当該飛行の飛行時間から30分を減らした飛行時間中に乗組員全員が必要とする量の酸素供給装置の容量が必要になるのです。
セスナ172の飛行規程 第2章 限界事項の「運用様式限界」には、【予知された着氷気象状態における飛行は禁止されている】とありますので注意が必要です。
セスナ172の着氷とフライトについて
着氷状況でのフライト継続は、セスナ172などの防除氷装置がない飛行機では危険です。
セスナ172の飛行規程には「予知された着氷気象状態による飛行は禁止されています」との記述があります。
機体への着氷は、航空機の性能に大きく影響を及ぼすのです。
ここでは着氷について、セスナ172の飛行前からの注意点・着氷に遭遇してしまった場合の対処などについて解説します。
飛行前の確認
冬期運航では飛行中において着氷気象状態の遭遇が予想されるのか、確認が重要です。
セスナ172も同様に飛行中に着氷状況に遭遇すると、航空機に大きな影響を及ぼします。
飛行前の気象状況の確認では、悪天予想図において着氷空域と5,000ftと10,000ftの0℃の位置が表示されているので、参考にするとよいでしょう。
気象状況を調べる場合は悪天予想図だけではなく、天気図・METAR・衛星画像図なども参考にして総合的に判断します。
下層悪天予想図では、0℃になる高度や地上・2,000ft・5,000ft・10,000ftの温度も分かりますので参考にしてください。
気象情報の確認では着氷域の回避ができるのか、代替経路や変更可能な高度帯についても確認しておきましょう。
セスナ172のフライトで代替の手段がない場合は、最終的に飛行の中止の判断を行います。
着氷気象状態に遭遇した場合
セスナ172で着氷気象状態に遭遇した場合は、以下の手順を考慮します。
操作手順 | 解説 |
ピトー・ヒート・スイッチをオンにする。 | ピトー管が凍らないように、ヒーターのスイッチをオンにします。 |
着氷が減少する外気温が得られるように引き返すか、高度を変える。 | 着氷状態の空域から離脱します。 |
キャビン・ヒート・コントロールを一杯に引き出し、風防デフロストの影響が最大となるようデフロスター出口を開ける。 最大デフロスター温度及び風量になるようにキャビン・エア・コントロールを調節する。 | 風防への着氷を防ぎ、前方視界を確保します。 |
スロットルを開き、プロペラ・ブレードの着氷を最小限に食い止めるよう、回転をあげる。 | プロペラの回転を早くすることにより、プロペラへの着氷を防ぎます。 |
キャブレター・エア・フィルターの着氷の徴候を監視し、必要に応じキャブレター・ヒートを使用する。 不可解なエンジン回転数の低下は、キャブレター・アイス又はインテーク・フィルター・アイスによって引き起こされる。 キャブレター・ヒートを使用し続けている場合は、最大回転数が得られるようミクスチャを薄くする。 | エアフィルターが着氷すると、空気の流入が妨げられエンジン回転が不安定になります。 エンジン回転が不安定な場合はキャブヒートを引いてエンジンへの空気の通り道を変えることによって、エンジンの回転を安定させます。 |
最寄の空港への着陸を計画する。着氷の程度が激しい場合は、適当な不時着地を選択する。 | 着氷空域から離脱できない場合は、最寄りの飛行場に着陸するか不時着地に着陸します。 |
主翼前縁に1/4in (0.6mm) 又はそれ以上の厚さに着氷した場合は、ストール・スピードは明らかに速くなることを心得ておかなければならない。 | 翼への着氷は翼形を変形させ、失速速度が速くなる恐れがあります。 |
フラップは上げたままの状態を保つ。水平安定板の着氷が激しい状態でフラップを下げると、主翼を流れる空気流の方向が変わり、エレベーターの効果を著しく低下させる。 | 着氷下でフラップを使用すると翼形が大きく変化し、機体周りの空気の流れも大きく変化します。 |
着陸進入に必要な視界を確保するため、可能であれば左側の窓を開け、風防部の氷を除去する。 | 必要に応じて実施します。 |
良好な視界を確保するため、必要ならばフォワード・スリップにより着陸進入を行う。 | 飛行機の姿勢を変えて良好な視界を得ます。 但し、着氷状態では失速速度が速くなりますので注意が必要です。 |
蓄積した着氷の量を考慮し、65〜75KIAS にて進入する。 | 着氷状況では失速速度が速くなるので、早めの速度で進入します。 |
水平姿勢にて接地する。 | 接地時に大きくフレアーすると着氷の程度によっては失速し、落着する恐れがあります。 |
着氷状況下ではセスナ172のフライトに及ぼす影響を考慮して、対処が必要になります。
また防除氷装置を使用しても着氷が除去できない恐れもあるので、考慮しておきましょう。
キャブレター・アイシングについて
セスナ172ではエンジンの回転数が徐々に低下したり、徐々に不調な状況が悪くなる場合はキャブレターアイシングが考えられます。
セスナ172のキャブレターへの流入空気量が変化し、スムーズにエンジンが回転しないためです。
キャブレターに付着した氷を取り除くには、発動機の回転がスムーズになるまでスロットルを全開にし、キャブレターヒート・ノブを一杯に引きます。
セスナ172では、巡航中にキャブレターヒートを継続して使用しなければならない場合があります。
着氷を防ぐためには必要な最少量のキャブレターヒートを使用して、発動機がスムーズに作動するようにミクスチャを調整する必要があるのです。
キャブレターアイシングは雲が存在しなくても、湿度が高い状態のときにおこりやすいので注意しましょう。
着氷の注意点
セスナ172で着氷気象状態に遭遇したら機体の防除氷装置を作動させて、その空域を回避しましょう。
防除氷装置を作動させても完全には着氷を防ぐことができない恐れがあるので、代替経路・高度を考慮し、機体性能の低下・失速速度の増加にも注意し、急激な操作は避けましょう。
飛行機の防除氷装置について
防除氷装置には、防氷装置と除氷装置があります。
防氷装置(Anti-icer)とは着氷を防ぐ装置を言い、除氷装置(De-icer)とは着氷を取り除く装置になるのです。
防除氷装置を作動させるにはブリードや電気などいろいろな種類の動力源により、着氷を防いだり着氷を取り除いたりします。
ここでは防除氷装置の動力源と、防除氷装置について解説します。
エンジンアンチアイス
ジェット機などはエンジンからの高温高圧の空気(ブリードエア)をエンジンへの空気取り入れ口や翼前縁に供給し、温めて氷がつかないようにします。
デアイサーブーツ
ターボプロップ機など翼の前縁にブーツと呼ばれるゴム製の膨らむ部分にエンジンからの空気を送り込み、氷を割るシステムをいいます。
Weeping Wing
グリコール液体を翼前縁にある穴を通して流出させ、着氷を防ぐ装置です。
電気ヒーター
電気による防除氷装置には、以下のものがあります。
・電熱式風防ガラス ・電熱プロペラ防除氷 ・加熱式ピトーヒート ・失速警報ヒーター |
電熱式風防ガラス
風防への着氷や、結露防止のためのヒーターです。
進入着陸時の視界の確保は、必須です。
電熱プロペラ防除氷
電熱プロペラ防除氷により、プロペラへの着氷を防ぎます。
プロペラ翼端部分は速度が速いので、電熱プロペラ防除氷はプロペラの根元に装備されています。
加熱式ピトーヒーター
この写真は、セスナ172のものです。
セスナ172もピトー管が凍ると、正しい速度を速度計は示してくれません。
着氷時には失速速度が速くなるので、ピトーヒーターをオンにして早めの速度を維持しましょう。
セスナ172の運用様式限界・着氷のまとめ
セスナ172には運用様式限界があり、必要な装置を装備した場合に該当する運用様式の飛行ができます。
運用様式には計器飛行方式のよる飛行・夜間飛行など7種類があるのです。
運用様式の飛行を行うのに必要な装置には、精密高度計やピトー管凍結防止装置付速度計などがあります。
セスナ172は、予知された着氷気象状態における飛行は禁止されています。
セスナ172で着氷気象状態に遭遇したら、ピトーヒートを作動させるなどして高度を下げるなど、着氷気象空域から回避し最終的に飛行の中止も考慮しましょう。
©sora ena
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